医療ダイエットとは、医療機関において医師の指導のもと、肥満の解消・改善を目的としたダイエットを行う診療のことです(肥満外来ともいいます)。
肥満は、摂取カロリーのオーバー、むくみなどで脂肪が燃焼しにくくなっていることなど原因も様々です。
トナリノ内科・外科クリニックでは、食事・運動療法による患者様の生活習慣の見直しに加えて、「GLP-1受容体作動薬」を用い、患者様の体質や生活習慣を考慮しながら、最適な治療を提供します。しっかりと診察を行い、患者様に合った治療計画を提案いたします。

GLP-1受容体作動薬とは
GLP-1(Glucagon-like peptide-1)は、食後に血糖値が上昇した際に小腸から分泌されるホルモンで、膵臓のβ細胞に作用してインスリン分泌を促進し、血糖値を下げる働きを持ちます。また、胃の動きを遅くして食事の消化吸収を緩やかにし、脳の食欲中枢に作用して満腹感を高めることで、食べ過ぎを防ぐ効果もあります。
しかし、体内のGLP-1はDPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ-4)という分解酵素によって速やかに分解されてしまうため、効果が持続しません。そこで、GLP-1のアミノ酸構造を改変し、分解されにくく長時間作用するように開発されたのがGLP-1受容体作動薬です。これにより、1日1回の内服や週1回の注射で持続的な効果を発揮し、血糖コントロールと体重管理の両方に有効とされています。
もともとは糖尿病治療薬として使用されていましたが、近年ではその食欲抑制作用を活かし、肥満治療やメディカルダイエットにも応用されています。

GLP-1受容体作動薬の特徴
食欲を抑える
GLP-1受容体作動薬は、脳の視床下部にある満腹中枢に作用し、食欲を抑える効果があります。食事量を自然に減らすことで、無理なくカロリー摂取を抑えることができます。また、食後の血糖値上昇を抑えながらインスリン分泌を促進するため、血糖値の安定化にも寄与します。胃の動きを緩やかにする
この薬は、胃の蠕動運動を抑えて食べ物の消化吸収を遅らせ、少量の食事でも満腹感を長く持続させます。過食を防ぐ効果があり、特に食後の強い空腹感を感じやすい方に適しています。脂肪燃焼を促す
GLP-1受容体作動薬は、褐色脂肪細胞を活性化し、エネルギー消費を増加させます。基礎代謝を向上させることで脂肪燃焼を促し、運動と併用することでより高い減量効果が期待できます。肥満治療や健康的なダイエットのサポートにも有効です。
主な副作用
- 悪心
- 食欲減退
- 下痢
- 便秘
- 低血糖
- 膵炎
- 腸閉塞
- 注射による痛み・内出血など
マンジャロ(注射GIP/GLP-1受容体作動薬)
マンジャロは、週1回の投与で効果を発揮するGIP/GLP-1受容体作動薬です。従来のGLP-1受容体作動薬に加え、もう一つのインクレチンであるGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)を配合することで、より強力な血糖コントロールと体重減少作用が期待できます。
マンジャロの特徴
GLP-1は食欲を抑え、胃の動きを緩やかにすることで食事量を減らし、満腹感を持続させる働きがあります。一方、GIPは脂肪の燃焼を促進し、エネルギー消費を高める効果があるとされています。これら2つのホルモンを同時に作用させることで、より効果的に体重を減らすことが可能となりました。
マンジャロの用量
マンジャロには 2.5mg、5mg、7.5mg、10mg の容量がありますが、当院では 2.5mg~7.5mg を使用します。
マンジャロの 投与スケジュール
最初に 2.5mgを週1回、4週間投与し、副作用(吐き気・胃の不快感など)がないか確認します。その後、問題がなければ 5mgを週1回 に増量し、継続します。さらに効果が不十分な場合は 7.5mgまで増量 可能です。
注意点
用量の調整は、患者様の体調や体重減少の進行具合を考慮しながら行います。自己注射の方法についても、医師やスタッフが丁寧に指導し、安全に使用できるようサポートいたします。

- 測定
身長・体重を測定し、現在のBMIを測ります。 - 医師の診察
BMIが基準を満たしている方は医師の診察をうけていただきます。お薬の説明、費用の説明を行います。 - 血液検査
血液検査を行い、処方可能かどうか判断します。15~30分程度かかります。
貧血・肝機能・腎機能・脂質・耐糖能
(1か月以内のデータをお持ちの方は省略可能です) - お会計・処方箋のお渡し
お会計に進みます。処方箋をお渡ししますので薬局にてお薬をお受け取りください。
治療を受けられない方
- 20歳未満、70歳以上
- BMIが20未満(マンジャロはBMI23未満)
- 糖尿病の方
- 過去にケトアシドーシスや糖尿病性昏睡の歴のある方
- 胆石症のある方
- 使用薬剤にアレルギーのある方
- 妊娠中・授乳中の方
- 免疫抑制剤・経口ステロイドを使用中の方
- 基礎疾患の病態が不安定の方
- 精神疾患の病態が不安定の方
- 摂食障害のある方